再び法務局

 この登記簿に書かれていることを簡単に説明すれば、「ヨ92番」と「カ10番」のふたつを合わせて「ハ132番」と所有権を交換したという意味です。

 耕地整理が行われた時に、これまでの土地を手放して、耕地整理が終わった後の土地と交換したのです。これを換地処分といいます。したがって「ヨ92番」は別の場所の土地なのです。

 

 そうとは知らずに後日、法務局へ出向いた私は「ヨ92番」の地図の閲覧を申し込みました。閲覧コーナーでしばらく待たされたのちに、係の方から「見つかりました。」と声をかけられました。するとそこにはいかにも古めかしい手書きの地図がありました。

 

 早速「ヨ92番」を探します。しかし思っていたのとは随分様子が違います。街道に面した場所にありません。

「カ10番」の地図も見せてもらいましたが全く離れた場所でした。釈然としないまま、それでもコピーを頼みました。その時に「全図もあるので付けておきますね。」と係の方に言われたのでした。

 

 地番の書かれている地図は「ヨ之部」や「カ之部」などの字ごとに分かれ描かれています。それだけでは村全体の姿がわかりません。「全図」とは村全体を字別に色分けした地図のことです。「泉村全図」があればどこの字を調べればよいのかが解かるのです。

 

 もし私が最初から登記簿の内容を理解していたのなら、「ヨ92番」が無関係だと解かっていたら、もはや手掛かりがないものと思い、再び法務局へ足を運ぶことはしなかったかもしれません。

泉村全図
明治十九年 石川郡泉村全図

 これが明治十九年十二月作成の泉村全図です。周辺の村との位置関係も解かりますし、現在は泉中学校になっている舊(旧)調練場も描かれています。この地図は泉村の郷土資料としても重要なものかもしれません。

 ともかくこれで私が調べたい場所が有松村と西泉村に接する「ニ之部」であることが判明しました。