吸坂峠案内

 吸坂峠には仕置場以外にも見所があります。せっかくなのでそれらをご紹介しましょう。

 

吸坂古墳群 

  吸坂の地には南加賀最大の前方後円墳があり全長67メートル、D13号墳と呼ばれています。南郷小学校向い側の敷地の中には吸坂南古墳群の案内板と石碑が建っています。

 

 この石碑があるフェンスの内側は個人所有の土地で「お城のようなお菓子屋さんの別荘」と称されているそうです。

硲伊之助美術館

  アンリ・マティスに師事した洋画家の方ですが、晩年は加賀に移り住み吸坂で九谷焼に没頭しました。

美術館内部にはグランドピアノが置かれ、初期の油絵から晩年の作品までが展示されています。

小説家の井伏鱒二とも親交があり、本の装丁も手掛けていたようです。

 

 工房兼住居の茅ぶき屋根の民家はダムに沈んだ旧我谷村から移築したものとのこと。

吸坂飴

  吸坂村で三百六十年に渡って作り続けてこられた飴、砂糖を使わず米と麦芽の甘味を生かした自然な味が特徴です。

 かつては村全体で製造していたそうですが、現在は「谷口製飴所」一件になってしまったそうです。飴は吸坂で作られていますが売店はここにはありません。私は加賀温泉駅前の「アビオシティ」の名店街で買いました。

 

 味は素朴ながらやさしい甘さ。あと、大きいのに意外と溶けるのが早い。

神明神社

  創立年代は不明。郡誌藩政時代の寺院(江沼志稿)の修験の部に「神明社、在吸坂村」とあるそうです。

 

 大聖寺藩の怪談を集めた『聖城怪談録』に収められた「吉崎屋甚左衛門家来山代道にて狼に逢事」のなかに、夜中に吸坂の刑場近くで頭の上に火をともした異様な風体の女に出逢い、振り返って見ると吸坂のお堂へ入って行った。これが牛の刻参りというものか、恐ろしいものを見た。 という件があります。

 吸坂のお堂といえばこの神社ぐらいですから、ここがそうかもしれません。

 

 加賀市ホームページで『聖城怪談録』の現代語訳を読むことができます。(https://www.city.kaga.ishikawa.jp/kosodate_kyoiku/toshokan/3100.html