はじめに


 今から二十数年前、まだインターネットが一部のマニアの趣味でしかなかったころの話です。(不正アクセス禁止法もありませんでした。)私は金沢市南部に位置する西泉という町に部屋を借りて住んでいました。

 

 ちゃんと町会費を払っていたので回覧板も回ってきます。そんな中に地元の歴史を紹介する目的でしょうか、近所の名所や旧跡などを載せたイラストマップが各戸に配られてきました。私が意外だったのはそのマップの中に「処刑場」や「火葬場」の文字が書かれていたことです。

 

 江戸時代ならこの辺りは街外れでしょうから、そのような施設があってもおかしくはありません。それでも近所のファミレスのそばに処刑場があったという史実に軽い驚きを感じたものです。

 

 最近、あるきっかけから刑場の正確な場所を知りたくなり、ネットで検索してみたのですが、思うような結果が表示されません。キーワードをいろいろ試しても知りたい情報にたどり着けませんでした。そして知った事は、正確な位置が判っていないという事実でした。

 

 現在はインターネットが普及し、誰もが膨大な情報と知識を共有することが可能です。例えば貴重な図書資料もデジタルデーターとして閲覧できますし、知らない街の様子を歩いているように見て回ることも可能です。これらを駆使し、もちろんそれだけでは足りない情報は旧来どおり足で調べ、見失われた刑場の跡地を探すツアーに出かけてみようと思います。