新たな手段

 実は私は二十年ほど前に測量事務所に席を置いていた時期がありました。県や市の公共事業を請け負っていたのですが、その中で用地丈量測量といわれるものがあります。

 

 たとえば、新しく道をつけたり広げたりする場合、必要な用地を取得しなければなりません。土地には所有者がいて、境界線があります。土地の広さに応じて納める税金も変わります。これらの記録は法務局に保管されています。

 道路をつけたい市や県は、その土地の所有者と境界を明確にして、道路に必要な分だけを切り分けなければなりません。そこで測量会社に土地調査と境界線の引き直しを依頼します。それが用地丈量測量です。

 

 依頼を受けるとまず法務局へ出向き、取得したい土地の地番を調べ登記簿謄本と地籍測量図を貰います。それらを元に新たに土地を分割する書類を作ります。そして実際の土地の境界に指標の杭を打ちます。ですが、現実はこんなにスムーズにはいきません。

 

 地方へ行くと先祖代々の土地がそのまま受け継がれています。名義人が変わっても土地を測り直したりしません。土地の境界も曖昧になっています。

 私が二十年ほど前に石川県七尾市にある法務局で出していただいたものは、和紙に手で書かれた絵図と、読むのも難しい文字が書かれた土地台帳でした。

 

「地租改正」は明治初期に行われた租税制度改革です。学校で聞いた覚えはありますが、それが現代を生きる私たちに関わりを持つとは思ってもいませんでした。法務局に残されている公図と呼ばれる絵図はこの時に作られたものです。

 

「地租改正」と「皇国地誌」編纂は同じ明治初期に行われた国家事業ですが、具体的な関わりは知りません。しかし「地租改正」での検地調査が「皇国地誌」に反映されているものと思います。

 法務局には明治時代の(公図)地引地図や土地台帳が現在も残されており、申請すればだれでも閲覧することができます。

 

 もしかしたら、泉の刑場の記録がのこされているかもしれません。